<固形墨と墨汁>
墨色という意味では固形墨も墨汁も違いが無い様にに思われますが、実は色々な意味で大きく違う固形墨と墨汁。それぞれに得意分野が違いますので、その特性を理解して使い分けることが重要です。どちらが良い、悪いではなく、ご自身の求めるところに合わせてお選びください。
固形墨:「墨に五彩あり」と言われるように墨色の中に様々な色味が存在します。その違いが織りなす微妙な表現が固形墨の魅力です。青味ががかったキリリとした表現や、茶色が潜む温かみを感じる表現など、墨を変えるだけで全体の表情が一変します。水墨画を鑑賞する際にも、使っている墨を想像することで、描き手の隠れた思いなどが感じられ楽しさが増してきます。また、固形墨はにじみが得意。伊藤若冲の水墨画によくみられる「筋目がき」なども、このにじみの特性を活かして描かれたものです。表現の豊かさは固形墨の真骨頂。
墨汁:言うまでもなく、書くまでの準備として必要な「墨を磨る」という時間を劇的に削減してくれます。
rimpamuraでは、忙しない心持ちをリセットし、心を落ち着かせることで得られる豊かな時間、そして表現の幅広さに注目し、固形墨をご案内しています。
<墨の種類>
墨(固形墨)の原料は、「煤(すす)」、「膠(にかわ)」、「香料」の3つで、「煤」に「膠」加え練り合わせ、「香料」を加えて木型に入れて乾燥させて作られます。
墨は煤の種類によって下記の3つに大別されます。
松煙墨:松の木を燃やしてできた煤で出来た墨。落ち着きのあるマットな墨色を見せる濃墨、透明感のある墨色の淡墨が特徴です。古くなるほど青系に変化していくといわれます。
油煙墨:菜種油、ごま油などの植物油を燃やして採る煤で出来た墨。つやと深みのある漆黒で奥行きのある墨色の濃墨、薄茶がかった墨色を見せる淡墨が特徴。きめ細やかなにじみの立体感が楽しめます。
その他:鉱物油・カーボンブラックなどを燃やしてできた煤で出来る墨。安価な固形墨はこのタイプの墨である場合が多い。
色の墨:伝統的な墨に加え、最近カラフルな墨が登場し人気となっています。その立役者となったのが、堀池雅夫さん。書斎の極上品(小学館文庫)で紹介されて人気となり、家庭画報の通販サイトで大ブレークしました。以降様々な色を追加し、今ではその色のバリエーションは40色を超えています。