中村硯は、高知県四万十市(旧中村市)で作硯されている硯です。
昭和29年(1954年)頃より採石が始まり、「蒼龍石硯」という別名でも知られています。その品質の高さから、「日本一の硯」と評する文献も多く見られ、硯研究家の井上研山氏の著書の中でも、中国の銘硯である端渓や歙州(きゅうしゅう)に比肩しうる名硯として紹介されています。
硯の原材料である蒼龍石は、高知県西部で発見された日本有数の硯材です。
蒼龍石は、土佐清水市荒谷の下ノ加江川沿いの山間部で採石されていましたが、採石場の確保と復旧に多大な経費がかかったことなどから、現在は採石を終了しており、残された在庫の石のみが加工されています。

