輪島塗 塗師 Masanori Nakatsu

一度外の世界を知ったからこそ。現代の暮らしに寄り添う輪島塗に挑む五代目・中津正典

江戸時代より続く名門「中津漆器店」の五代目として、輪島塗の歴史と誇りを受け継ぐ塗師・中津正典氏。
一度は輪島を離れ30歳まで社会人として培った経験を携えて家業へ戻り、父・正克氏が極めた銀漆器の高難度な技術を叩き込みました。異なる世界を歩んできたからこその客観的な視点と確かな手仕事を武器に、次世代を担う職人として着実に信頼を築いています。

正典氏の手仕事の魅力は、職人技が光る伝統の工程を守りながらも、現代のライフスタイルに溶け込む新たなプロダクトを提案する姿勢にあります。動物モチーフの品や文鎮・硯箱・名刺入れといったデスク周りの道具など、「飾るもの」になりがちだった輪島塗を「日常で使う生きた道具」へと再定義。使うほどに傷や艶が味わいへと変わる唯一無二の美しさを生み出しています。

人懐っこい笑顔と親しみやすい語り口で輪島塗の魅力を楽しそうに語る一方、伝統工芸が置かれた現状を冷徹に見つめる理知的な一面も併せ持つ正典氏。「伝統を今の暮らしへ引き戻す」という信念のもと、使い手とともに歳月を重ねる器づくりに挑み続ける姿は、多くの人々の心を捉えて離しません。

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