攀桂堂 筆師 Junichi Fujino

創業元和元年400年の伝統と技術を誇る「攀桂堂(はんけいどう)」の筆職人 藤野純一

伝統の重みを受け継ぎながら、現代の書き手の感性に寄り添う筆を作り続ける職人がいます。滋賀県高島市にある、創業元和元年、400年の伝統と技術を誇る筆工房「攀桂堂(はんけいどう)」。

攀桂堂は、日本で、そしておそらくは世界でも唯一の、古来の筆づくりの技法である「巻筆(まきふで)」を今に継承する稀有な工房です。江戸時代から代々「一子相伝」の技として受け継がれてきた雲平筆(うんぺいふで)の技法を、現在は十五世雲平氏と、その技術を確かに受け継ぐ息子の藤野純一氏の二人が、固い絆で守り続けています。

一分の妥協も許さない、巻筆の構造と職人哲学

巻筆の最大の特徴は、その緻密な構造にあります。
中心となる「芯毛(しんげ)」を上質な和紙で幾重にも巻き固め、その上に「上毛(うわげ)」を重ねて麻糸で強固に締め上げる。この独特の製法により、芯がしっかりと立ち、強靭な腰の強さと、力強く迷いのない線を可能にします。

職人の仕事は、単に古い形を模倣することではありません。
毛の一本一本、和紙の巻き具合ひとつで、墨の含みや紙に触れたときの弾力が劇的に変わります。指先の感覚だけを頼りに、均一で完璧なバランスを生み出すプロセスには、「書き手の表現を絶対に妨げない」という職人の静かな執念が込められています。

その確かな品質と精神性は、時代を超えて多くの人々を魅了してきました。著名な書道家やアーティストはもちろん、皇族・宮家の御用達としても愛用され、2017年8月には秋篠宮両殿下、悠仁親王殿下が同工房に立ち寄られています。

伝統を「今」に活かす、あくなき探求

純一氏は、大学卒業まで筆づくりを行ったことはありませんでした。しかし、大学卒業後に筆の名産地である広島県安芸郡熊野町で3年間の厳しい修行を積み、職人の道を歩み始めました。

伝統の継承者として歩む純一氏は、自身も日頃から書を嗜んでいます。時代の変化とともに変わる書き手の細かなニーズや、道具に対するこだわりを肌で感じながら、「歴史を守ること」と「現代の書き手に寄り添うこと」を両立させる仕事を追求しています。

その姿勢を象徴するのが、NHK大河ドラマの題字や劇中で使用される筆の製作です。父である十五世雲平氏と共に、現存しない平安時代の筆を再現するため、題字を手掛ける書家・根本氏と何度も協議を重ね、試行錯誤の末に巻筆「紫微垣(しびえん)」を作り上げました。

400年という歳月が磨き上げた「巻筆」の技術の根底には、親から子へと受け継がれる確かな技と、常に書き手と共に歩み、新たな表現の可能性を拓き続ける職人の誠実な探求心が息づいています。

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3 types of Fude

水筆(有芯筆)
攀桂堂_rimpamura_紙巻
紙巻筆(有芯筆)
巻筆
籐巻筆
菘翁用筆(水筆)
兼毫筆龍籐巻筆 桐箱入り
天平筆(紙巻筆)
紫微垣(紙巻筆)

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