実用的でいて、美術的な価値も高い硯:赤間硯

赤間硯(あかますずり)は、山口県下関市や宇部市周辺で作られている硯です。その歴史は古く、鎌倉にある鶴岡八幡宮に源頼朝公が奉納したとされる赤間硯が残っていることから、鎌倉時代にはすでに製造が始まり、800年以上の歴史を誇ることがわかります。
硯の原材料である赤間石は硯に適した石で、緻密な石質にくわえて、墨をするために必要な石英(せきえい)や鉄分を多く含んでおり、赤間硯を用いれば墨を細かく磨ることができ、発色も伸びもよい墨汁ができると評されています。
赤間硯は、職人自身が採石を行うことでも知られています。赤間石はほかの硯石と比べても乾燥しやすいため、露天掘りではなく、坑内に入って採石されます。職人には石を見極める目に加えて、火薬を取り扱う技術も必要とされ、採石ができるようになるには10年以上かかると言われます。

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